2020年2月26日の午後に発表された政府の方針を受け、当日開催予定であったPerfumeの東京ドーム公演が中止となった。これを機に、ドームやアリーナなどの大きな公演から、地方の小さなライブハウスに至るまで、公演の中止や延期、自粛が目立つようになる。各種メディア、SNSなどではイベントにかけられる保険制度をめぐり、様々な情報や意見が錯綜した。結果的にコロナウイルスによる中止、延期の措置については、保険の対象外とされることが判明し、興行主の経済的損失は計り知れないものである。

 東京都では3月23日に新型コロナウイルス感染症対策として、4月12日までイベントの自粛要請が出された。大きなライブやコンサートは基本的に自粛となったが、街場の小さなライブハウスは営業を続ける店もある。しかし、大阪のライブハウスにおいて、新型コロナウイルスの集団感染が起きたことや、各種メディアにおいてライブハウスへの出入りを自粛するように名指しで喚起されていることから、世間からの風当たりは強く、ここ数日のうちに街場のライブハウスも営業自粛をせざるを得ない状況となった。

 ライブやコンサートが中止となることによって、ライブハウスなどの主催者側の経済的損失は言うまでもない。そのようなライブハウスを支援する企画 “Save Our Place” が立ち上がった。ミュージシャンが創った音源の売上を希望する施設へ届けるプロジェクトである。その一方で、ライブの主役であるミュージシャンの経済的な支援についての動きはあまり活発ではない。新型コロナウイルスによる自粛の影響により、ミュージシャンの経済的状況は逼迫しており、対応が急がれる。

 ライブ自粛による経済的な損失について、メジャーアーティストのサポートを行うミュージシャンにインタビューを行った。3月中のライブの中止・延期は15本にのぼり、3月16日現在でライブの中止・延期に対する保証はなく、約60万円の損失であった。

 サポートミュージシャンの支払いは、月末締め、翌月末または翌々月末払いであることが一般的であり、6月以降に収入の減少が見込まれる。今後もライブの中止や延期などが続けば、6月以降の収入は大きく減少し、生活面にも影響が及ぶことは言うまでもない。ミュージシャン個人への経済的支援は急務である。

小林篤茂