2020年4月7日に非常事態宣言が発令された。それに伴い、東京都の小池百合子知事は10日の記者会見で、ライブハウスやナイトクラブやカラオケボックス、パチンコ店など幅広い業種に対して、新型コロナウイルスの緊急事態宣言に伴う休業要請を表明した。
 要請に伴いライブハウスや楽器店など音楽関連の業種が相次いで休業を表明したが、施設で働く従業員に対しての休業補償について、政府から個人に対する給付は検討されていない。
 今回の休業要請の対象施設に含まれていないが、ヤマハ音楽教室、カワイ音楽教室、島村楽器(1)などの大手音楽教室はレッスンを5月6日まで中止にすると発表した。レッスンの中止に伴い、レッスンを担当する音楽講師の経済状況は逼迫しており、対応が急がれる。

ヤマハ音楽教室「『新型コロナウイルス』感染拡大に伴うレッスン対応について(4/8更新)」(最終閲覧日2020年4月11日)
https://www.yamaha-ongaku.com/music-school/members/infomation/20200408/?yclid=YJAD.1586585693.6zbxdd2dcq0nhanugwLfSE6qvlK0y0rVOhDhdKJknsVK3BB6Pm3t36DlK50CuCWopVCbqaw3aZMV_AQ-

カワイ音楽教室「≪4/8更新≫緊急事態宣言に伴う休講延長のご案内」(最終閲覧日2020年4月11日)
https://music2.kawai.jp/news/info/seqno/19639?_ga=2.186964321.815761351.1586585798-536275215.1586585798

島村楽器「当社の新型コロナウイルス感染症の対応について」(最終閲覧日2020年4月11日)
https://www.shimamura.co.jp/lesson/search/tokyo.html

 音楽講師の業務は、音楽教室でのレッスン、家庭教師のように個人間で契約を結び、自宅などで行う個人レッスン、吹奏楽部など吹奏楽団体に対するレッスン、指導など様々な業態がある。
 ある音楽教室でレッスンを行う講師は、3月中に予定されていたレッスンのうち、約半数近くがキャンセルとなり、レッスン中止に対する保証(キャンセル料など)の支払いはないと話していた。

 なお、今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、日本のポピュラー音楽が直面する重大な危機に鑑みて、日本ポピュラー音楽学会(JASPM)では音楽講師の現状を含めて、各種機関に対する緊急調査プロジェクト「新型コロナウイルスと音楽産業JASPM緊急調査プロジェクト2020」を推進している。

 また、音楽講師を対象とした「COVID-19(新型コロナウイルス)の影響に関する調査」を行っているので、対象となる音楽講師の方々には、ご協力を願いたい。フォーム回答ページはこちらである。

https://forms.gle/bXDbkfeWMfgeDuLN7

 音楽講師の多くは雇用形態が契約社員や業務委託契約であるため、収入が不安定である。また、労働組合が存在しないため団体交渉もできない。社会的立場低く、今回のレッスン中止についての補償は支払われない可能性が高い。音楽講師を含め、個人への給付金を政府が支給するべきである。

小林篤茂

(1)地域によって対応が異なる。東京都の事業所については全て中止となった。