新型コロナウイルスの感染が都市部で拡大している事態を受けて、4月7日に緊急事態宣言が発令されてから6日が経過した。
 政府は相変わらず個人への現金給付を出し渋っている中、ジャズミュージシャンの生活は既に危機的な状態となっている。

 ジャズミュージシャンの収入源は大きく分けると3つある。一つ目は演奏による収入、二つ目はCDの販売による収入、三つ目はレッスンによる収入である。

 ジャズミュージシャンの報酬は、当日の客数に応じた金額が支払われるチャージバック制、客数に関係なく一定の金額が支払われるギャランティ制、一定の保証された金額に、当日の客数に応じた金額を上乗せする保証制などが採用される。

 コロナウイルスによる自粛が目立ち始めたのは、ライブハウスでの集団感染が発覚した3月初旬頃であり、早期のうちに営業を自粛する店舗が出てきた。ジャズミュージシャンの報酬はその日のライブ後に支払われることが一般的であるため、ライブハウスが自粛となったその日からジャズミュージシャンの収入は減少した。
 商業施設やテーマパーク、結婚式やイベントなどでの演奏も、ジャズミュージシャンの収入元となっているが、東京都の小池知事が外出の自粛を要請した3月25日以降、各地の施設は閉鎖を余儀なくされ、演奏による収入は完全に途絶えてしまった。

 CDの販売収入については、ミュージシャン全員がCDを作っているとは限らない。また、音楽業界の市場規模は年々縮小しており、大きな利益は見込めないのが現状である。

 レッスンについても、大手の音楽教室が自粛を決定したことにより、教室と契約している場合は収入が途絶える。リハーサルスタジオの営業自粛によって、個人間のレッスンを行うことも難しい状況にある。

 あるジャズミュージシャンは、演奏の仕事が減少したことによりバイトせざるを得ない状況となっており、今後もこのような状況が続く場合は死活問題であると話す。
 これはジャズミュージシャンに限った話ではない。スタジオミュージシャンやサポートミュージシャンなど、日本のポピュラー音楽を下支えするミュージシャンに共通する問題となっている。

小林篤茂